先日、Legal Forceの企画で、顧問弁護士の正しい使い方についてインタビューをしていただきました。
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https://legalforce-cloud.com/download/150
改めて、顧問契約を結ぶメリットや顧問契約を検討する時期などについて書きたいと思います。
顧問契約締結のメリット
顧問契約の締結のメリットについては、ご案内ページがありますので、こちらもご参照ください。
顧問契約 | 如水グループ:九州を地盤とした監査・税理士・コンサルティング・社会保険労務士法人 (jwater-group.com)
主には、
① 煩雑な契約業務からの解放
② 法律問題の調査時間の短縮
③ 継続的な紛争予防対策の実施と万が一の場合の円滑な紛争対応
④ 円滑なコミュニケーションの実現
⑤ 法務教育のサポート
が挙げられます。
まず、①について、企業においては、日々事業活動により生じる種々の契約書の確認業務が発生します。こちらのひな型で契約書が締結できるのであれば、チェックの時間も大幅に短縮されますが、相手方の契約書をもとに締結を進める場合には、自社のひな型との違いやそれによって生じる法的効果について検討を行い、受け入れても問題がないのか、変更をお願いしないといけないのか、確認をしなければなりません。
私たちの事務所では、AI契約書審査プラットフォームの「Legal Force」の実現により、迅速で正確な契約書レビューを心がけるとともに、日々相談に乗っている顧問先企業であるからこそ、ビジネスモデルの理解や担当者が求めるレビュー形式(文言の修正を行うのが良いのか、コメントをつける形式がいいのかなど)に合わせた対応など、きめ細やかな対応を行うよう心がけています。
②については、事業活動の遂行の中で様々な法律問題に直面することがあります。
私たちの事務所では、数十社に上る顧問先企業からの相談に応じてきた経験を踏まえて、企業の管理担当者が共通して悩まれる事項について速やかに回答することができます。特に、日ごろから幅広い業種の顧問先から相談を受けているため、業種特有の問題点についても丁寧に対応できるよう心がけておりますし、上場企業や上場を目指す企業の支援も多く行っているため、そのような企業特有のお悩みにも迅速に対応することが可能です。
③については、日ごろから継続的に相談できる体制が整っていることで、紛争の防止に向けた対応を検討することができますし、万が一紛争に巻き込まれた場合にも相談の延長として紛争対応に当たることができます。日常的な労務対応が必要な企業様には、グループ内の社会保険労務士法人との共同顧問など、より細やかなご支援も可能です。
また、どうしても弁護士への相談は敷居が高いと言われがちですが、私たちの事務所では、④チャットワークなどのコミュニケーションツールを活用することで弁護士への相談の敷居を下げ、必要な相談をタイムリーに行えるように心がけております。
特に、新人の管理部員の方をチャットワークのグループに入れていただくことで、弁護士への相談の仕方や弁護士からの回答の活用方法など、社内のナレッジの蓄積にも貢献できるものと考えております。
このような⑤円満なコミュニケーションを行うことに加え、法律事務所のミニセミナー、如水グループの社労士法人との共催による法務労務セミナー、顧問先企業限定の動画配信など、法務教育の体制を整え、顧問先企業を全面的にご支援できるようにしております。
顧問契約の締結時期
弁護士との顧問契約の時期はいつがいいのか、ということに悩まれる経営者の方も多いと思います。ポジショントークとしては、日常的に相談できる体制を整備すること自体が大切なので、思い立ったらすぐにでも、という話にもなりますし、実際、顧問弁護士への相談が少ない企業でも、顧問弁護士がいるという安心感によって経営者が経営に専念することができた、といって顧問契約の重要性をお話しいただく経営者の方もいらっしゃいます。
そのように言っていただけるのは、我々弁護士としてもとても嬉しいことです。
一方で、毎月定額の顧問料の支出も生じますので、経済的な負担の面も考えると、一定の検討ポイントがあった方がいいという側面も否定できません。
一律に基準を示すのは難しいところですが、私が聞かれたときは、
- 1か月の間にリーガルチェックを依頼する契約書が2通以上ある場合
- 利用規約など定期的に見直しが必要なものがある場合
- 株式上場を目指すなど、コンプライアンス体制の整備が必要な場合
などには、顧問弁護士の検討をするのがいいのではないかという回答をさせていただいております。
顧問弁護士の選び方
次にどのような弁護士を顧問弁護士にするのが良いかですが、
① 自社のビジネスモデルを理解していること
② レスポンスが速いこと
③ 相談しやすいこと
がポイントになるかと思います。
特に、人と人の相性の問題はどうしてもありますので、③は一番重視するポイントではないかと思います。
私たちの事務所でも、顧問契約についてご相談を受けた場合には、一度面談をさせていただいた上でお互いに相談をしやすい関係が構築できそうか検討いただいた上で顧問契約を締結していただいております。
一方で、距離が近い方がいいかどうかは顧問弁護士に求める内容によって異なります。
紛争やトラブル対応など、精神的にも不安になりがちなことを相談するケースが多い場合には、直に会って話すことで安心感を得られる側面は否定できませんので、近くにいる方が良いといえます。
そうではなくて、定型的な契約書のチェックなど、メールやチャットワークのやり取りだけで完結する業務が多い場合には、距離にこだわるよりも①専門性や②レスポンスの速さなどを重視して選んでも問題ないことが多いと思います。
福岡で顧問弁護士を探している、企業法務について相談できる弁護士を探しているという方はこちらもご覧いただけますと幸いです。
私たちの事務所では、3年以上前からリーガルフォースというAIによる契約書審査プラットフォームを活用しています。このコラムを書いている2023年10月現在でリーガルフォースを導入している企業・法律事務所の数は3000社を超えたそうで、このようなリーガルテックが浸透してきているのを実感しています。
リーガルフォースのインタビューも掲載されました。
https://legalforce-cloud.com/usecase/81
では、なぜこのようなリーガルテックを活用するのでしょうか。
私たちの事務所がリーガルフォースを使う理由は3つあります。
契約書チェックの早期化
1つ目は契約書のチェックのスピードが格段に上がることです。
例えば、守秘義務に関する条項1つとってもチェックするポイントは複数あります。
(10月のコラムにNDAのチェックポイントについて記載するので是非ご覧ください。)
このようなポイントを一つ一つチェックしていくと、契約書をチェックする時間が非常に長くなります。
これをAIでチェックすることにより、定型的な条項をチェックする時間が格段に削減できます。そのようにすることで、人の目でチェックすべきポイントをより実質的な内容のところに集中させることができ、効率のいい契約書のチェックが可能になります。
その結果、私たちの事務所では、顧問先から依頼を受けた9割以上の契約書は、当日か翌営業日にはチェックしてお返しすることができています。
チェック精度の向上
2つ目は、チェックの漏れをなくせると言うことです。
人間のチェックに頼ってしまうと、どうしてもチェックの漏れが出ることがあります。
例えば、すぐに出かけないといけない場合や他の仕事に手をとられているような場合などに、ざっとしたチェックで終わらせてしまうと言うこともあり得ます。
また、人間なので、体調の良し悪しによって仕事の成果が変わってしまうと言うこともあり得ます。
それに対して、AIは典型的なチェック事項について、どのような場合でも(通信環境が整ってないと言うハード面の問題は置いておいて)網羅的なチェックをしてくれます。
AIは、人間のミスを保管する役割を果たしてくれます。
ひな型の活用
3つ目は、豊富な契約書の雛形や条文の雛形が多数用意されていることにあります。
契約書を修正する時、こちらが思い描いている内容に修正していく必要がありますが、その状況を文章で表現するためには、どのような表現をするのが良いか、他の契約書の条項などから参考になるものを探してくる必要がありますが、リーガルフォースには、契約書類の雛形や豊富な条項案が1000以上も用意されており、これを活用することによって、契約書の修正も容易にできるようになります。
もちろん、クライアントから契約書のひな型が欲しいという要望がある際にも、豊富なひな型の中から、柔軟に対応することが可能となります。
リーガルフォースの活用
このような理由から、私たちの事務所はリーガルフォースを導入しております。
他にも、AIが契約書をチェックしてくれるシステムはありますが、その中には、契約書1通あたりチェックがいくらと言う形式の費用体系のものもあるのに対し、リーガルフォースは月にどれだけ契約書をチェックしても、月額料金は変わらないと言うメリットがあります。
もし1通あたりいくらと言う料金体系であれば、簡単な契約書と思ってチェックをしないこともあり得るかもしれません。
しかし、上に書いたように人間の目によるミスは、簡単な契約書においても起きることがありますし、契約書のチェックの依頼を頼む顧客の立場からすると、簡単な契約書だから重要性が低いと言うことにもなりません。顧客の立場に立ってしっかりと契約書をチェックすることを徹底するためには、チェックするかどうか自体を迷うような料金体系ではないということも、重要なポイントだと思っています。
まだまだ、九州においてはこのようなAIによる契約書のチェックを導入している事務所は少数ですが、東京や大阪を中心にリーガルフォースを始めとした契約書のチェックシステムを導入している企業や事務所は増えてきており、将来的には契約書チェックの大前提を支えるツールとして普及していくのではないかと考えています。
一方で、まだまだAIではなく、弁護士によって検討しなければいけない点も残っています。たとえば、AIが指摘した事項であっても、相手方の意向によってこちらの望むような契約書の修正ができない場合があります。そのような場合に、相手の意向に沿った契約を締結していいのかどうか、そのリスクは現実的にはどれくらいのものなのか、こうした判断はまだまだ弁護士に残された領域だと思います。
私たちの事務所では早くからリーガルテックを導入することによって、こうした弁護士が行うべき領域の把握に努め、AI+弁護士が契約書業務に悩まれる企業の皆様の手助けになれるよう日々努めています。
福岡で顧問弁護士を探している、企業法務について相談できる弁護士を探しているという方はこちらもご覧いただけますと幸いです。