2024.12.10.Tue
- コンプライアンス
- 著作権
著作権法の概要その1
著作権とは、著作物の利用に関して著作物を創作した者に認められた権利のことで、著作権法にルールが定められています。著作権は特許等とは異なり、審査を経ずとも創作時から自動で発生する点がポイントです。
⑴著作物の定義
「著作物」とは、①思想又は感情を②創作的に③表現したものであって、④文芸・学術・美術・音楽の範囲に属するものをいいます(著作権法2条1項1号)。
「著作物」と聞くと、小説や曲、映画等を想像するかもしれませんが、舞踊や建築、プログラム等対象になるものは多岐にわたります(同法10条1項各号)。
⑵著作者人格権
(広義の)著作権は、(狭義の)著作権と著作者人格権に分類することができます。
著作者人格権は、著作者の人格的な利益を保護する権利で、㋐公表権、㋑氏名表示権、㋒同一性保持権の3つに分類することができます。
なお、著作権は譲渡することができますが、著作者人格権は著作者の一身に専属する権利であるので、他人に譲渡することはできません(同法59条)。そのため、契約書の記載でも配慮が必要です。
㋐公表権(同法18条)
公表権とは、未公表の著作物(著作者の同意を得ずに公表されたものを含む)を公表する権利です。簡単にいうと、著作者が、自分の著作物を公表するかしないかを決めることができる権利のことです。
㋑氏名表示権(同法19条)
氏名表示権とは、著作物の原作品または著作物の公衆への提供・提示に際し、著作者名を表示するかしないか、表示する場合はどのような著作者名を表示するかを決めることができる権利です。著作物を公表する場合、本名でもペンネームでもよいですし、著作者名を付けなくても問題ありません。
一方で、著作者以外の者が著作物に表示されている氏名表示を許可なく変更したり、削除したりして公衆に提供・提示をすると、氏名表示権侵害となります。
㋒同一性保持権(同法20条)
同一性保持権とは、自身の著作物やその題号の同一性を保持し、著作者の意に反して許可なくこれらを変更したり改変されたりされない権利です。
送り仮名の変更、読点の切除、「・」を「、」への変更、改行の省略をした場合でも、同一性保持権侵害となりますので、注意してください(東京高判平成3年12月19日)。
⑶著作権に含まれる権利
著作権には、以下に列挙する権利が含まれています。著作権者は、これらの権利によって保護された行為を独占的に行ったり、これらの行為を第三者に対して許諾することができます。
① 複製権(同法21条)
著作権のコピーを作成する権利
②上演権・演奏権(同法22条)
著作物を公に上演し、または演奏する権利
③上映権(同法22条の2)
著作物を公に上映する権利
④公衆送信権・公衆伝達権(同法23条)
著作物をテレビやインターネット等で公に送信する権利
⑤口述権(同法24条)
言語に関する著作権(詩、小説等)を公に読み聞かせる権利
⑥展示権(同法25条)美術の著作物または未発行の
著作物を、オリジナルによって公に展示する権利
⑦頒布権(同法26条)
映画の著作物を複製物によって頒布する権利
⑧譲渡権(同法26条の2)
映画の著作物を除く著作物を、公に販売等の方法で提供する権利
⑨貸与権(同法26条の3)
映画の著作物を除く著作物を公に貸出しできる権利
⑩翻訳権、翻案権等(同法27条)
著作物を翻訳・編曲・変形・脚色・映画化し、二次的著作物を創作する権利
⑪二次的著作物の利用に関する原著作権者の権利(同法28条)
原著作物を基に創作された二次的著作物につき、原著作者が保有する権利
特に、⑩、⑪は契約書レビューの場面で重要となる権利です。詳しくはその2で解説します。
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