2023.10.15.Sun
- 基本
- 契約書
契約書の読み方基本編
これから定期的に契約書の読み方に関するセミナーを実施したり、コラムの投稿を行いますが、契約書全体に共通する基本的な読み方について少し記載をしてみたいと思います。
契約書のチェックポイント
まず契約書の一般的なチェックポイントですが、以下の3つを意識してください。
1つ目に、自分たちの立場がどのようなものであるか、例えば売買契約書であれば、買主側なのか、それとも売主側なのか、これを意識する必要があります。
そして2つ目に、自分たちの立場に合わせて考えた時に、契約書が有利なのか不利なのか、判断する必要があります。
しかし、契約書が1つあるだけではなかなかそれが有利なのか、不利なのか、わからないことも多いと思います。
そこで契約書を読む上で比較となる雛形があると、そのひな型との違いを意識しながら、自分たちにとって有利なのか不利なのかということが検討しやすくなります。
その意味でも普段から自分たちの会社で使う雛形を整備しておくというのは非常に重要なことです
少し我々の事務所の宣伝にはなってしまいますが、我々の事務所ではリーガルフォースという契約書のAI審査プラットフォームを導入しているのですが、このプラットフォーム上では、全部で1000以上の契約書類等の雛形が準備されていて、このような雛形を利用することで、
契約業務を円滑に進めることができます。
→Legal Forceの活用についてはこちらをご参照ください
3つ目に契約書というものは相手方との関係に左右されるものであることを意識しておかなければなりません。そのためどんなにこちらに有利な契約書にしたいと思ったとしても、相手が納得しなければ締結できません。特に相手方の方が力関係が強い場合には、こちらが望むような契約が締結できないこともあります。そのため、自分たちの立場から見てどこの条項は譲歩することができて、どこの条項が譲歩することができないのか検討する必要があります。
売買契約書を例にした契約書のチェックイメージ
それでは実際に自分たちの立場から見て、契約書の条項がどのようになると良いのかイメージを見てみたいと思います。今回はわかりやすいように売買契約を例にとって説明いたします。
例えば、売買契約の場合、チェックする項目はいくつかありますが、わかりやすいものを挙げると、例えば支払期日がいつなのか、という点を見ても、買主の立場からすると、なるべく支払い期日が遅い方が資金繰りの関係では良いのですが、
逆に売主の立場からすると、自身の仕入先や原材料の調達先に代金を払うことなどを考えると、資金繰りの関係からなるべく早く代金を回収したいということになります。
また、細かいところですが、商品の送料もお互い相手方に負担してほしいと思うでしょうから、買主の立場からすると売主負担で、売主の立場からすると買主負担で、という思いが生じます。
他にもいくつか項目を挙げていますが、このように買主と売主という立場で比較してみることで、それぞれが有利になる内容の違いから、同じ条項に関して違う要望が出てくるということがわかるのではないでしょうか。
実際の条項例で立場の違いを見てみる
こうした違いというものを実際の条項で確認してみたいと思います。内容は少し変えておりますが、些細なところですが、第8条の代金支払いのところで、振り込み手数料をどちらが負担するかというところで、赤文字になってるかと思います。
この赤文字は右と左で内容が違うところを色付けしているのですが、実際に契約書をチェックする時も、自社の雛形とチェックする雛形と比較するイメージでチェックを行うと、自社に有利なのか、不利なのかというイメージを持ちやすくなります。
もちろん実際には契約書チェックの時にいちいち照合しているわけではありませんが、頭の中で、一般的な条項はどのようなものだろうとイメージしながら、我々はチェックしております。
比較の視点を持っていただくために条文を見ていただくと、第1条のところで、目的物を変える際に、左の買主有利の規定だと「買主は、売主に通知の上」と通知すれば一方的に変更できる内容となっています。
一方、売主の方は「売主は、買主と協議の上、」となっていて、協議をしないといけない、という条項になっています。
実はこの条項はあえて若干不明確な内容にしてみました。
この条項を読んだときに「協議」をした後、合意をする必要があるかどうか、読み解けますでしょうか。
このように、契約書チェックを行う際は、有利不利を考えるということもありますが、不明確なものを明確にする、という作業も生じます。
今回は、契約書をチェックする際の3つのポイントと具体的なイメージを見てもらいました。
これから定期的に様々な契約についてコラムを書いていきますし、契約書に関する無料ミニセミナーも行っていますので、如水法律事務所のHPを時々ご覧になっていただけますと幸いです。
2023年9月から2024年7月までのスケジュールはこちらをご確認ください。
福岡で顧問弁護士を探している、企業法務について相談できる弁護士を探しているという方はこちらもご覧いただけますと幸いです。